オゾンの消臭(脱臭)の原理

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オゾン発生器付きの空気清浄機を自作しました。
発生したオゾンを有効に消臭に使いため、オゾンによる消臭の原理を調べました。

こちらの解説を参考にしました。必ずしも大学のセンセイが言っていることが正しいとは言えませんが、自分自身この解説で納得したのでイラストを混じえながらこのページにまとめます。

結論

オゾンが直接悪臭を消しているのではなく、オゾンが分解した時に出来上がる活性酸素が悪臭を消しているという事がわかりました。

オゾンは直接消臭してくれないよ

絵にすると下図の通りです。

 

重要なのは2. オゾンを分解された後に出来る活性酸素です。
活性酸素をどのように発生させて、悪臭と反応させて消臭されるかが重要なので詳細に説明します。

活性酸素の発生

有効な順に記すと、

  1. 触媒による分解
  2. 光分解(光触媒)
  3. 水分による分解
  4. オゾンの自己分解

空気清浄機を作るのならば1. の方法が良いかと思っています。
空気清浄機の中にオゾン発生器とオゾン分解触媒を入れて、ファンで空気を吸ってその中の酸素で活性酸素を作り、一緒に吸い込んだ悪臭を直ぐに分解する。HEPAフィルター(目が細かい高性能のフィルター)などと組み合わせるのが最も有効ですね。

イメージ図はこんな感じです。

ここであれっ?と思う方がいるかと思います。
悪臭分子が少なければ活性酸素が空気清浄機から出ていって部屋中に充満するんじゃない?悪臭分子を分解するくらいだから人間にも悪いのでは?と。

はい。確かに活性酸素というのは人間にもペットにも有害なものです。

難しい言葉になるけど活性酸素は酸化力が強いと言うんだ

しかし、安心して下さい。
活性酸素そのものは不安定で直ぐに消滅します。あとで詳しく書きますが、このイオン発生器で発生する活性酸素であるスーパーオキシドは酸素に、ヒドロキシラジカルは水と酸素になります。その時間は活性酸素発生後、0.0001秒の間です。空気清浄機のファンを最大にしても0.0001秒の間で移動する活性酸素は0.01mmです。空気清浄機の中で作られた活性酸素が出てくることはありませんね。

オゾン分解触媒って何者?と気になる方もいるかと思います。金属の酸化物や炭酸塩をはじめとする無機粉末です。具体的には二酸化マンガン、酸化ニッケル、炭酸コバルト、炭酸ニッケルです。これらを濾過層(フィルターやハニカム)に混ぜています。

このオゾン分解触媒の代わりに光を利用したのが2.の方法です。
この方法ではオゾン発生器を使用せずに光で活性酸素を作ります
大気中に含まれる酸素からスーパーオキシドを作り、同じく大気中に含まれる自らヒドロキシラジカルを作ります。

具体的なプロセスとしては酸化チタンの表面に付いた酸素分子や水分子が紫外線(降り注がれる光の400nm以下の波長)にさらされると分解されて活性酸素が出来上がります。

下のイメージ図の通りです。

これの利点は酸化チタンと紫外線さえあれば電気代発生せず、半永久的に活性酸素を作り出せます。酸化チタンは触媒なのでそのもの自身は化学反応しません。酸化チタンは大気中で安定でもあります。
にもかかわらず、これが主流にならないのはそれ以上に弱点があります。

  • 図の通り表面反応なので効率が悪い(酸化チタン粒子の内部に意味はない、表面が汚れたら光が届かない)
  • 紫外線を当てないといけない(室内光、UVカットされた窓では意味がない)

可視光でも働く材料は昔から研究されていますが、まだまだ性能は足りません。表面反応というのも不利ですね。粒子の微粒子化、表面に汚れが付きにくくなるような加工などコストアップにつながります。

オゾンそのものは危険です

オゾンに消臭機能がないことは上で書いた通りです。
オゾン自体に悪臭分子を分解する力はありません。
ただし、オゾンは水と反応して酸素分子とヒドロキシラジカルに分解されます。

そのため、大気中に湿気が充分あれば分解により発生したヒドロキシラジカルが悪臭分子を分解(悪臭分子を酸化反応させ、無臭な物質に変化)してくれます。

イメージ図は以下の通りです。

※ヒドロキシラジカルの表現はOHではありません。Hの右上にマイナスを付けてしまうと水酸化物イオンになってしまいます。

これが3. の方法ですね。オゾンが危険の前に4. も説明しておきますね。
オゾンの自己分解、簡単に言うとほっとくと勝手に分解するということです。
この場合は水分子がいないためHが存在せず、出来上がる活性酸素はスーパーオキシドアニオンラジカルです。スーパーオキシドと略されます。

イメージ図はこんな感じです。

あっ、ごめん。
今更だけど、ラジカルは電子式で表現した方が良いかも・・・

”オゾンそのものは危険です”に戻ります

ラジカルの表現でやってしまった感もありますが、話を戻します。
オゾンはほっとくと勝手に分解と書きましたが、どのくらいの時間かと言うと自己分解速度(半減期)は大気中で10時間超えです。大気中に水分が無いとオゾンは数時間も大気中にただよっています。

ここで人間がやってきたらどうでしょう?
オゾンを吸い込むことになりますね。体に入ったら粘膜に触れますね。粘膜というのは水分を含んでいることから結果的にオゾンにより粘膜が分解されてしまいます。
人間の粘膜は非常に弱いため麻痺や肺水腫の症状が出てしまいます。
これがオゾンは体に悪いということです。

日本産業衛生学会の勧告では、オゾンの作業環境許容濃度は100ppb以下とされている。これって市販の小型オゾン発生機で簡単に超えてしまいます。
わたくしが購入したのは↓これ。

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これを室内(10畳くらい)で使ってしまうとオゾン濃度が5,000ppbを超えてしまいます。
そのため、使用には注意が必要です。上記にあるようにオゾン分解触媒を併用したり、湿度をかなり上げるか加湿器を近くに置くかなどです。
ただ、このあたりを熟知していれば部屋の中の殺菌という意味では使いようはあります。
部屋の中に人を入れず、付けっぱなしにして殺菌させ、人が入る前に止めて(止める時に一瞬入りますが)充分換気してから入室すれば良いことになります。
または空気清浄機に使うだけでなく冷蔵庫に入れて殺菌に使うとかも良いですね。

しっかり理解して使うと良いよー

だから、自作で空気清浄機を作ってオゾン発生器を付けオゾンの匂いがする~と喜んでいるわたくしは大きな過ちをしているということです。匂いを感じている間はずっと粘膜が酸化され続けています。匂いが消えた♪と粋がっているのはオゾンそのものが嗅覚細胞を麻痺させているだけです。

次回からはオゾンを理解した上で使用します。

 

 

おまけ① オゾン発生器

オゾン自体を発生する方法について書くのを先延ばしにしてしまいましたが、ここに記しておきます。

  1. 紫外線を酸素または空気に照射
  2. 水を電気分解
  3. 放電

初期投資、ランニングコスト、安定性、効率などを含めると3. の大気圧放電プラズマ素子等を用いた放電を採用されることが多いです。わたくしが400円で購入したオゾン発生器も放電タイプ。

一回だけ、仕事でどこかの業者がウチは水を分解する方法使っているんですよ~って聞いたことがある。何かしらの利点があるから採用されていたんだけど理由忘れちゃった。

おまけ② プラズマ?イオン?

これはわたくしの想像というか予想でしか無いので確かではありませんが、空気清浄機では外せないプラズマイオンと言った言葉。
これってほとんど日本でしか使われないんじゃなかな?どっかのページで読んだ気がする(この時点でもうこの話怪しいけど・・・)

一応、自分なりの納得としてeBayで空気清浄機(Air Purifiers)を検索するとテクノロジーとしてオゾン発生器( Ozone Generator)の方が多く出るんだよね。

HEPAと活性炭(Activated Carbon)はフィルターだし。
イオナイザーはどちらかというと静電気を落とす役割だろうから、部屋の中のホコリの静電気を取って壁や床から剥がして空気清浄機に吸い込んでフィルターでキャッチする仕組みだと思うだけど、どうだろ?少なくとも仕事で使っているイオナイザーは静電気を無くす(打ち消す)ために使っている。

結局はどのメーカーの空気清浄機もオゾンを発生させ次に活性酸素を発生させて悪臭を消臭していると思う(もちろんフィルターもね)。
オゾンを発生させる原理として上にあるように放電を使用しているのがほとんどだと思うからその発生のための大気圧放電プラズマ素子のプラズマを取っているんじゃなかな?シャープの社員じゃないからプラズマクラスターの語源は知らないので勝手な予想です。

イオンというかマイナスイオンと言う言葉はまぁ、語源はヒドロキシラジカルスーパーオキシドアニオンラジカルから来ているんでしょう。ーパーオキシドアニオンラジカルアニオンって入っているし、ヒドロキシラジカルってヒドロキシと言えば高校化学ではラジカルよりヒドロキシ基を先に習うよね。ヒドロキシ基といえば 無機化合物における陰イオン OHだからここにも陰イオンが入っている。

ここで大声で言いたいんだけど、

マイナスイオンなんて習ってないよ~

アニオン、陰イオン、カチオン、陽イオンは習ったんだけど。
例えば水酸化物イオンってOHとか書くからマイナスが付くので陰イオンなんて言わないんだろう。一般の人達に売るためにはコレの方がわかりやすいんでしょう。
とはいって、高校化学で習うんだから。文系に進んでも理科系の科目を浅く習うでしょう。物理とか生物選んじゃった?いや、まだ生物ならイオン出てくるでしょ。物理系だと原子物理学の浅いところで出てこない?

おまけ③ 悪臭の消臭

悪臭の主な源は硫化水素メチルメルカプタン硫化メチル、次いで二硫化メチルアンモニアです。硫化水素は温泉地を思い出してもらうと良いと思います。いわゆる腐卵臭。卵が腐ったような匂い。その後に続くメチル系は玉ねぎやキャベツが腐ったような不快な匂い。それぞれの野菜を腐らせれば感じられるけど、近いのはガス漏れが起きた時様に人が直ぐに気づくようわざと匂いを付けているんだけど、その匂いかな。上記のそのものじゃないけど近い匂いであると思います。そういえば、最近だとIH調理器が普及しちゃっているからわからないか。アンモニアは駅や公衆トイレとかでよく感じるかな。

んで、人間には硫化水素とかメチルなんちゃらなどの硫黄を含む物質の匂いが支配的に感じるらしいです。そのため、硫化水素の消臭の過程で悪臭の消臭メカニズムを説明します。

化学反応式で書くと
H2S+O3→H2S+O2+O→S+H2O+O2
(Oは活性酸素)
ですが、図を見た方がわかりやすいでしょう↓。

まとめ

大手家電メーカーの空気清浄機を買っとけば良いよ~

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